【プロ解説】ドラム式洗濯機の電気代・水道代完全ガイド|気になるランニングコストを徹底検証

最終更新日:2025年08月02日
イントロダクション

「ドラム式洗濯機は初期費用が高いけど、ランニングコストは安いって本当?」 「毎月の電気代や水道代はどのくらいかかるの?」 「どうすれば節約できる?」

多くの方がこのような疑問を持っているのではないでしょうか。ドラム式洗濯機は購入時に高額な投資が必要ですが、実際の使用コストはどうなのでしょうか。

本記事では、主要メーカーの最新データに基づいて、ドラム式洗濯機の電気代・水道代を徹底解析します。初期費用だけでなくランニングコストまで考慮した本当の経済性を、家電のプロが分かりやすく解説します。

1. ドラム式洗濯機の電気使用量を徹底分析

洗濯のみなら驚くほど少額!乾燥で大きく変わる電気代

 

ドラム式洗濯機の電気代について、まず意外と知られていないのが「洗濯のみ」の場合の消費電力の低さです。実は洗濯行程だけであれば、1回あたりわずか2〜3円程度しかかかりません。

これは縦型洗濯機でも同様で、「洗濯だけ」なら両者に大きな差はありません。なぜなら洗濯行程はモーター駆動が中心で、大きな電力を必要としないためです。

洗濯1回あたりの電気代比較:

縦型洗濯機:約1.9円(消費電力量約60Wh)

ドラム式洗濯機:約2.2円(消費電力量約70Wh)

しかし、ドラム式洗濯機の真価が問われるのは「乾燥機能」を使ったときです。ここで大きな電力消費の差が生じます。

乾燥方式で大きく変わる消費電力

 

ドラム式洗濯機の乾燥機能には主に2種類あります:

1. ヒートポンプ式:エアコンと同様の原理で熱交換を行い、低温で効率よく乾燥させる最新方式 2. ヒーター式:電熱線で高温の熱風を生み出して乾燥させる従来型の方式

この違いが電気代に与える影響は非常に大きいです。

乾燥1回あたりの電気代比較(6kg乾燥時):

ヒートポンプ式ドラム:約20〜30円(600〜890Wh)

ヒーター式ドラム:約50〜70円(1,700〜2,500Wh)

縦型乾燥機能付き:約60〜80円(2,000Wh前後)

最新のヒートポンプ式は特に省エネ性能が高く、例えばパナソニック「NA-LX129DL」では標準モードで890Wh(約27.6円)、省エネ乾燥モードでは620Wh(19.2円)まで消費電力を抑えられます。シャープの「ES-G11C」も約870Wh(27円)と低消費電力を実現しています。

一方、ヒーター式や水冷除湿式は、その2倍以上の電力を消費するケースが多く見られます。

各メーカーの最新モデル消費電力比較

2024年モデルの主要メーカー製品を比較すると、次のような消費電力量の差があります:

メーカー・モデル

乾燥方式

消費電力量(洗濯~乾燥)

電気代(31円/kWhで計算)

パナソニック NA-LX129DLヒートポンプ約890Wh(標準)/620Wh(省エネ)約27.6円/19.2円
シャープ ES-G11Cヒートポンプ約870Wh約27.0円
東芝 TW-127XP4Lヒートポンプ約1,330Wh(標準)/720Wh(節電)約41.2円/22.3円
日立 BD-SG110KLヒートポンプ約1,690Wh約52.4円
旧型ヒーター式(参考)ヒーター約1,700〜2,500Wh約53〜78円

同じヒートポンプ式でも、乾燥効率を高める独自技術(シャープのハイブリッド乾燥や東芝の新型ヒートポンプなど)の有無で消費電力に差が出ています。

 

2. 水道使用量から見るドラム式のメリット

ドラム式は水の使用量が圧倒的に少ない

 

ドラム式洗濯機の最大のメリットの一つが、水の使用量の少なさです。縦型洗濯機が洗濯槽いっぱいに水を溜めるのに対し、ドラム式は衣類を持ち上げて「叩き洗い」するため、水をずっと少なく済ませられます。

1回あたりの水使用量比較(10kg洗濯時):

ドラム式洗濯機:約60〜80L

縦型洗濯機:約100〜120L

東京都の平均的な水道料金(0.24円/L)で計算すると、1回あたりの水道代は:

ドラム式:約15〜19円

縦型:約24〜29円

毎日洗濯する家庭では、この差が積み重なると年間で数千円の違いになります。

メーカー別の水使用量の違い

 

各メーカーは独自の節水技術を開発しており、その効果にも違いがあります:

パナソニック:「スゴ落ち泡洗浄」で高濃度洗剤液を泡状にして少ない水でも高い洗浄力

日立:「ナイアガラ循環シャワー」で洗濯水を効率よく循環させる技術

シャープ:穴なし槽構造で外槽との間の水を節約

最新のドラム式洗濯機は、さらに洗濯物の量や汚れ具合をセンサーで感知し、最適な水量を自動調節する機能も搭載しています。

乾燥時はさらに節水に

 

興味深いことに、洗濯から乾燥まで行う場合、多くのドラム式では標準の洗濯時より水使用量が減る傾向があります。これはすすぎ回数の調整や濃縮洗いによるもので、例えば:

パナソニック機種:洗濯のみ78L → 洗濯+乾燥65L

ヒートポンプ式機種:洗濯77L → 洗濯+乾燥48L

つまり乾燥まで行う場合は、洗濯のみよりも水道使用量が20〜30%節約される場合があります。ヒートポンプ式は特に節水効果が高い傾向にあります。

3. 実際のコスト計算と地域差

気料金・水道料金の地域差とは

 

日本国内では、電気料金も水道料金も地域によって大きく異なります。例えば:

電力単価:標準的には31円/kWh(税込)ですが、地域によっては25円から35円以上まで変動

水道料金:都道府県別平均で最安県と最高県で約2.1倍、市町村レベルでは6〜8倍もの格差

この差を踏まえると、同じ洗濯機を同じように使っても、地域によって月々のコストは大きく変わります。

家族構成別のコスト試算

 

実際の使用パターン別に、縦型とドラム式のコストを試算してみましょう。

一人暮らし(洗濯週3回、乾燥機能ほぼ未使用)

縦型洗濯機:月約300円(電気15円+水道285円)、年約3,600円

ドラム式(ヒートポンプ):月約240円(電気10円+水道230円)、年約2,880円

共働き2人暮らし(洗濯毎日1回、うち週2回乾燥使用)

縦型洗濯機:月約1,000円(電気60円+水道940円)、年約12,000円

ドラム式ヒーター乾燥:月約1,600円(電気約700円+水道900円)、年約19,000円

ドラム式ヒートポンプ乾燥:月約1,100円(電気約400円+水道700円)、年約13,000円前後

子育て世帯4人家族(洗濯毎日2回、うち1回は乾燥まで使用)

縦型乾燥機能付き:月約3,300円(電気約2,100円+水道1,200円)、年約40,000円

ドラム式ヒーター乾燥:月約4,000円(電気約2,300円+水道1,700円)、年約48,000円

ドラム式ヒートポンプ乾燥:月約2,800円(電気約1,350円+水道1,450円)、年約33,000円

これらの試算から見えてくるのは、「乾燥をよく使う家庭ほどヒートポンプ式ドラム洗濯機のメリットが大きい」という点です。特に多人数家族で乾燥頻度が高い場合、ヒートポンプ式は年間で数千円〜1万円以上の節約になる可能性があります。

4.洗濯習慣とコストの関係性

使い方次第で大きく変わるランニングコスト

同じ洗濯機でも、使い方によって電気代・水道代は驚くほど変動します。以下に主な影響要因をご紹介します。

洗濯頻度(毎日少量 vs 週末まとめ洗い)

「まとめ洗い」は基本的な節約術です。洗濯機は1回運転するごとに一定の電力と水を消費するため、少量でも満量でも1回あたりの固定コストがかかります。

例えば一人暮らしで毎日洗濯を週3回に減らすと、水道・電気代で約20〜30%節約できるケースもあります。ただし、詰め込みすぎは汚れ落ちに影響するため、洗濯容量の8割程度を目安にするのがベストです。

 

乾燥機能の使用頻度

乾燥機能を使うか否かが、コストを左右する最大の要因です。乾燥1回あたりの電気代は洗濯の何十倍にも達するため、「できる範囲で自然乾燥にする」だけで大きな節約になります。

例えば週に4回の乾燥を外干しに切り替えれば、月あたりヒートポンプ式で360円、ヒーター式なら800円もの電気代節約になります。

 

選択するモードの影響

「標準コース」だけでなく、状況に応じて適切なコースを選ぶことも重要です:

汚れが軽い衣類:スピードコースやお急ぎモード

すすぎの回数:すすぎ1回設定やためすすぎ機能

省エネモード:各メーカーの節電・節水モード

これらの工夫で年間約2,000円の節約効果が期待できるとされています。

5. 乾燥機能使用時のコスト詳細分析

乾燥時間とコストの関係

乾燥にかかる時間は衣類の量や素材、湿度によって変わりますが、一般的なヒートポンプ式ドラムでは約1〜2時間、ヒーター式では約2〜3時間です。消費電力は運転時間に比例するため、乾燥時間が長いほど電気代も上がります。

例えば、縦型ヒーター乾燥機で3時間の乾燥に約78円かかるところを、半分の90分に短縮できれば電気代も約40円まで下がる計算です。

 

どこまで乾かすかで変わるコスト

「完全乾燥」に拘らず、少し湿り気を残して取り出し自然乾燥で仕上げる方法も節約になります。

ドラム式洗濯機の多くには「アイロン仕上げコース」「送風乾燥」など省エネモードがあり、これらを活用することで標準より30〜50%の電気代カットが可能です。

 

他の乾燥方法とのコスト比較

では、ドラム式乾燥と他の乾燥方法を比較してみましょう:

乾燥方法

1回あたりの費用目安

メリット

デメリット

ドラム式(ヒートポンプ)20〜30円高速、天候に左右されない、布傷み少初期費用が高い
ドラム式(ヒーター)50〜70円高速、天候に左右されない電気代高め、布傷みやすい
浴室乾燥機40〜80円大量に乾かせる時間がかかる、電気代高め
部屋干し+除湿機15〜40円場所を選ばない時間がかかる
コインランドリー100〜200円超高速、大量に乾かせるコスト高、外出が必要
外干し0円無料、太陽の殺菌効果天候に左右される、手間がかかる

このように比較すると、家庭内での乾燥手段としては、ヒートポンプ式ドラム乾燥が最もコストパフォーマンスが良いことがわかります。実際、「浴室乾燥からドラム式に切り替えたら月の電気代が半分近く減った」という事例もあります。

 

6. メンテナンスコストと長期的経済性

定期的なメンテナンスの重要性

洗濯機の性能を維持し長持ちさせるためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。主なメンテナンス費用には:

洗濯槽クリーナー:500〜800円(月1回推奨)、年間6,000〜9,600円

乾燥フィルター清掃:無料(自分でできる)

ドアパッキン清掃:無料(自分でできる)

これらの日常メンテナンスの費用は年間数千円程度ですが、怠ると後に大きなコスト増につながります。

 

メンテナンス不足がもたらす余分なコスト

特に注目すべきは、フィルター掃除と消費電力の関係です。乾燥フィルターが目詰まりすると通風抵抗が増え、乾燥時間が長くなり、最大20%程度も余計に電力を消費してしまいます。

実際、「フィルター掃除を毎回するだけで消費電力が20%カットできた」という検証結果もあります。

さらに深刻なケースでは、「手入れ不足でヒートポンプユニットが目詰まりし、乾燥に終わりが来ない『無限乾燥』状態になった」という事例も。これではエネルギーの無駄遣いになるだけでなく、修理費用として数万円かかることもあります。

 

縦型との長期的コスト比較

最後に、縦型とドラム式のトータルコストを長期スパンで考えてみましょう。

ドラム式洗濯乾燥機は縦型より本体価格が高く、上位モデルでは10〜20万円以上の差があります。一方でランニングコストは年間数千円〜1万円以上ドラム式(特にヒートポンプ式)の方が安くなる可能性があります。

仮にドラム式が縦型より10万円高く、年間1万円安く使えるとすれば約10年でイニシャルコストの差額を回収できる計算です。ドラム式の耐用年数が10年前後であることを考えると、乾燥をよく使う家庭ではちょうどトントンか少し得、乾燥をあまり使わない家庭では縦型の方が経済的という結論になります。

つまり、「乾燥機能を頻繁に使うならドラム式の方がトータルコストで有利。使わないなら安価な縦型で十分」と言えるでしょう。

7. 今すぐ実践!電気代・水道代節約テクニック10選

では最後に、洗濯機の電気代・水道代を賢く節約するための実践的なテクニックをご紹介します。できそうなものから順に試してみてください。

① まとめ洗いを心がける

ポイント:洗濯物が少ない日は翌日に回すなどして、可能な範囲でまとめて洗濯しましょう。1回あたりの固定コストを減らせます。

効果の目安:一人暮らしで毎日洗濯を週3回に減らすと、水道・電気代で約20〜30%節約(月300円→210円程度に)。 

 

② 洗うコースを状況に応じて選ぶ

ポイント:汚れが軽い衣類や少量の時はスピードコースやお急ぎモードに切り替え、すすぎ1回設定やためすすぎ機能も活用しましょう。

効果の目安:これらの工夫で年間約2,000円の節約効果が期待できます。

 

③ 乾燥前にしっかり脱水する

ポイント:「乾燥前に追加脱水1回」は電気代節約に非常に効果的です。洗濯機の脱水を強め・長めに設定して水分をできるだけ飛ばしておきましょう。

効果の目安:乾燥に必要なエネルギーを10〜20%削減できます。

 

④ 可能な限り自然乾燥を利用する

ポイント:天気のいい日は外干し、難しければ部屋干し+扇風機の活用を。「乾燥機は必要な時だけ」で大幅節約。

効果の目安:週4回外干しに切り替えれば、月あたりヒートポンプ式で360円、ヒーター式なら800円の電気代節約に。

 

⑤ 省エネ性能の高い洗濯機に買い替える

ポイント:古い洗濯機を最新の省エネモデル(特にヒートポンプ式)に替えると驚くほどランニングコストが下がることも。

効果の目安:省エネ洗濯乾燥機への買い替えで年間約4,500〜9,000円の電気代削減が可能。

 

⑥ 適切な洗濯容量の機種を使う

ポイント:「家族人数×2kg以上」を目安に容量を選ぶと経済的。大きすぎても小さすぎても効率が悪くなります。

効果の目安:適正容量で使うことで1回あたりのエネルギー効率が最大化され、長期的に節約につながります。

 

⑦ 省エネモード・機能を活用する

ポイント:「節電」「節水」「おまかせAI」等の機能は積極的に使いましょう。センサーやAIが最適な運転を判断してくれます。

効果の目安:AI自動運転にすると、手動標準設定より年間約5〜10%程度電気・水道使用量が減少。

 

⑧ 電力会社や料金プランを見直す

ポイント:電気代そのものを下げることで、洗濯機だけでなく家全体の節約になります。

効果の目安:電気料金単価を31円/kWhから25円/kWhに下げられれば、洗濯乾燥機にかかる電気代も約20%節約に。

 

⑨ フィルターを毎回掃除する

ポイント:乾燥フィルターのホコリを放置すると通風抵抗が増え、乾燥効率が落ちます。使用後は必ず掃除しましょう。

効果の目安:フィルター掃除を毎回することで乾燥時の消費電力が最大20%カットできることも。

 

⑩ 夜間電力を利用する

ポイント:タイマー予約で夜間の安い電力時間帯に洗濯・乾燥を行うと、同じ使い方でも電気代が安くなります。

効果の目安:時間帯別プランで最安時間に乾燥まで行えば通常より20〜30%電気代を削減可能。

まとめ:ドラム式洗濯機のランニングコストを最適化するには

 

ドラム式洗濯機は確かに初期投資は高額ですが、使い方次第で長期的には経済的な選択になり得ます。

特に洗濯〜乾燥までを頻繁に行う家庭では、ヒートポンプ式のドラム式洗濯機がトータルコストで最も有利になる可能性が高いです。水道代の節約効果と乾燥時の省エネ性能が大きな武器となります。

一方、乾燥機能をほとんど使わない場合は、縦型洗濯機の方が初期費用の安さから経済的と言えるでしょう。

いずれの場合も、定期的なメンテナンスと賢い使い方を心がけることで、無駄な出費を抑え、家電のパフォーマンスを最大限に引き出せます。適切な機種選びと上手な使いこなしで、快適さと経済性を両立させましょう!